(ロワッシーへカエル)

<選択ポイント>
 Oは結局最後はどうなったのか。
 「O嬢の物語」を読み、終章の走り書きのような短い文章を読むとついつい気になってしまう方も多いのではないだろうか。
 14年ぶりに出たその続編とでも言うべき「ロワッシイへ帰る」がその答えだ。
 「いまでは、あんたは自由よ、O」「あんたの鉄の環も、ネックレスもブレスレットもはずせるし、その跡も消せるわ」(ロワッシイ、アンヌ・マリーの言葉)
 
<あらすじ>
ステファン卿のもと、Oは今後部屋の中ではいつでも裸でいることを要求される。
 そしてロワッシイヘ再び戻ったOに、「O、気でもちがったの?なんのために モニックがあんたに化粧したとおもってん?あんたはからだじゅう鉄を嵌められているのだから、自分で自分のからだにふれる権利がもうないことをよく知っているでしょ」とアンヌ・マリーに言われる。
 さらに「こんどはちがうの。ステファン卿はあんたをこの家にゆずり渡したの。そうだからあんたは誰とでも寝ることができるわ。でも、それはこの家の問題なのよ。あんたはお金を支払われるのーお金をね!」と言われ自分の置かれた立場を知った。
 新たにOの前に現れたカールは、Oを連れてアフリカ、アメリカへ連れていくと言い出すがまもなく帰らぬ人となってしまう。
「いまでは、あんたは自由よ、O」「あんたの鉄の環も、ネックレスもブレスレットもはずせるし、その跡も消せるわ」「だけどもしあんたが望むならここに残ってもいいのよ」
 彼女はアンヌ・マリーに答えもしなかった。

<本>
正・続O嬢の物語 (サラブレッド・ブックス 202)
「正・続 O嬢の物語」(セイ・ゾク オージョウノモノガタリ)
 (正はいわゆる「O嬢の物語」。続は「続 O嬢の物語」とタイトルされ、「恋する娘」(ポーリーヌ・レアージュの序文)と「ロワッシイへ帰る」が収録)
著: ポーリーヌ・レアージュ 訳:長島良三 二見書房 ISBN4-576-00359-8


「上海異人娼館」ダンス・エレマン版
著者:寺山修司/宇野亜喜良 アートン ISBN:4-901-00682-7

<映画>
 
「上海異人娼館」(シャンハイイジンショウカン)
製作:1981年 仏・日
監督・脚本:寺山修司
出演:イザベル・イリエ(Isabelle Illiers)-O
   クラウス・キンスキー(Klaus Kinski)-Sir Stephen
   アリエル・ドンバール(Arielle Dombasle)-Nathalie
   新高ケイ子(Keiko Niitaka)-Aisen
   山口小夜子(ヤマグチサヨコ)-Sakuya
   高橋ヒトミ(Hitomi Takahashi)-Byakuran
   大野美雪(Miyuki Ono)-Kasen
   中村研一(Kenichi Nakamura)-Ogaku
   石橋蓮司(イシバシレンジ)-Katoh
   藤田敏八(Toshiya Fujita)-Shimada
・ 1920年代の終りの中国。上海の娼館“春桃楼"に、“O"(イザベル・イリエ)と呼ばれる美しい女性が、鋭い眼光をもったステファン卿(クラウス・キンスキー)に連れられてやって来た。
 その娼館は、女主人黒トカゲ(ピーター)によって営まれ、拷問人のスイカ頭の大男や小人など奇異な人間たちが仕えている。
 姐婦たちによって裸にされた“O"は、化粧され、一室を与えられた。
 彼女は実はステファンの愛人なのだが、二人の精神的な絶対の愛を碓立するために、彼女は肉体は他人にまかせ、どのような屈辱にも耐える、というステファンとの約束に従ってここに入ったのだ。
 ステファンは、上海でカジノを経営していた。そこは中国の中の外国--中国人の侵入が許されない治外法権の土地。危険を愛する彼は資金を集める中国人の革命テロリストに金を与える、そして彼は今、愛人ナタリー(アリエル・ドンバール)と共に暮らしていた。
 ナタリーは“O"の存在を知っていて、嫉妬心を抱いている。“春桃楼"には様々の娼婦たちがいる。
 愛染(新高けい子)は、元女優だったという記憶のみに生きており、客ともドラマのシーンを演じないとベッドを共にしない。
 サド専門の少女娼婦、聾唖者を装う咲耶(山口小夜子)。
 “O"は時々父親の夢を見る。
 まだ幼ない彼女は父に手をひかれて歩いている。
 四角い線の囲いの中に“O"を置いて去る父。
 追おうとしても動けない“O"。
 ふと父親がふり返ると、それはステファンの顔になる。
 彼女にとってステファンは父のイメージなのか。
 “春桃楼"と川をヘだてた位置に無法地帯の貧民街がある。
 そこの飲食店の息子、王学(中村研一)は、いつも娼館を眺めていたが、“O"の姿に魅了され、いつしか彼女を抱くことを夢みるようになる。
 ある日、娼館にナタリーを伴ったステファンが現われ、“O"を縛り上げた目の前でナタリーを抱く。
 これも彼にとっては実験なのだ。上海の情勢が変化をみせ、資金を拒んだステファンに、テロリストたちは逆上し、彼のカジノを破壊する。
 やがてナタリーが彼から去り、彼には“O"しかいなくなる。
 なおも賭に挑む彼は、“O"に花束を贈り続けていた王学に彼女を会わせた。
 少年王学のけなげな姿にうたれ、“O"は初めて心から愛に沈んでゆく。
 それを陰から見ていたステファンは、“O"の裏切りを感じ怒る。
 イギリス領事の誕生パーティで、“O"は、ステファンが逮捕されたことを知る。
 彼は王学を殺害したのだ。
 失神する“O"。
 意識がもうろうとする中で、彼女はステファンの声を聞いた。
 “お前は自由だ、好きなところヘ行くがいい"……。

<参考:謎の最終章>
 当初「O嬢の物語」の作者ポーリーヌ・レアージュ=ジャン・ポーランではないかと言われたが、彼は後日「私は「O嬢の物語」の初版本にある短い序文を書き残したが、あれはすでに正確ではない。ポーリーヌ・レアージュは校正の段階で、わたしに相談もしないで最後の一章を削除してしまった」といっている。
  そしてポーランが死んだ後、「ロワッシイへ帰る」というタイトルで、ポーリーヌ・レアージュの新作が現われた。そしてその中で、作者は序言で、「この物語は「O嬢の物語」の続きである。この続編は、「O嬢の物語」の出版から5年後に書かれたものであるが、故意に削除された部分がある。が、それを元に復するつもりはない」と言いあの削除された最終章であることをはっきりと否定している。
(ポーリーヌ・レアージュについては、NO1.「O嬢の物語」参照)

<参考:「上海異人娼館」>
 SM文学の最高峰『O嬢の物語』の続編的作品『城への帰還』を、奇才・寺山修司が時代設定を大幅に変えて映画化した異色作。
 香港の娼館『春桃楼』を舞台に、万華鏡のような倒錯愛の世界がくり広げられている。

<本ブログ主宰川口青樹(カワグチ セイジュ)のお気に入り>
 恋人から奴隷となることを求められ、奴隷のまま他人に譲られ、さらに娼婦として預けられていくという流れに、自分の理想とする奴隷の影が感じられ全体を通してお気に入り。
 
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参考:O嬢の物語を読んで映画を見たしかもパート2まで
   上海異人娼館/チャイナ・ドール
   僕は知らない寺山修司NO.134⇒絵本「上海異人娼館」(寺山修司+宇野亜喜良)
   「上海異人娼館〜china doll〜」
   ★寺山修司『上海異人娼館』