(ヤネウラノサンンポシャ)

<テーマ選択ポイント>
 覗かれるという行為が被虐性を持つためには、覗かれているということを知らなければならないかもしれない。
 貴方は覗きたい、覗かれたい?

<あらすじ>
1920年代の東京。東京本郷の下宿屋の東栄館に住む郷田三郎は定職につかず退屈な日々を送っていたが、ある日、押し入れの中で天井板がはずれることを発見し、そこから屋根裏に上り、徘徊を始めた。
 所々にある節穴を通して、バイオリンを弾く清楚なお嬢様・煕子(ひろこ)の様子や、妾の和枝を荒縄で縛り、その姿態を和紙に描く弁護士・越塚、複数の男と痴態を重ねる奈々子、下宿人の部屋に忍び込んでは小銭を盗んでいる女中の珠代など、様々な下宿人たちの姿が見え、郷田は日常からは想像も出来ない彼らの本性を覗き見るという禁断の楽しみを覚えた・・・。

<映画>
「屋根裏の散歩者」
製作:1994年 日本
監督:実相寺昭雄
原作:江戸川乱歩
出演:三上博史 郷田三郎 宮崎ますみ 加賀恵子 六平直政 嶋田久作

「屋根裏の散歩者」製作: 2006年   日本
原作:江戸川乱歩
監督: 三原光尋
出演者: 嘉門洋子 窪塚俊介 永瀬ひかり 村木仁

江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者
メーカー: にっかつロマンポルノ
原作:江戸川乱歩
監督: 田中登
出演者: 宮下順子 渡辺とく子 田島はるか 秋津令子 中島葵 / 石橋蓮司

<本>
屋根裏の散歩者
出版社: 角川書店

<参考:乱歩と名張「生誕地碑の建立」>
 昭和27年の帰郷がきっかけになって、名張では江戸川乱歩生誕地碑の建立が企画されました。
 有志が浄財を募り、乱歩と相談しながら準備を進めました。
 かつて乱歩の生家があったところに、高さ約1.9メートルの石碑が建てられ、「江戸川乱歩生誕地」という文字のほかに、乱歩の書いた「幻影城」「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」という言葉が刻まれました。
 除幕式は昭和30年(1955)11月3日、乱歩夫妻の臨席のもと、盛大に催されました。
 乱歩は講演会や座談会も行い、香落渓などの観光名所にも足を運んで、名張をあとにしました。
 翌年発表された随筆「生誕碑除幕式」は、こんな文章で結ばれています。
 「たとえ生誕碑にもせよ、自分の碑の除幕式に列するなんて、あまり例のないことだろうと思うが、名張市というところが、従来中央で多少名を知られたような人を、一人も出していないために、私のようなものでも、珍らしがって取り上げてくれたのだろうと思う。市の企画とか、個人の金持の企画とかいうのでなく、町の人々が、自発的に六十年もごぶさたしていた私に対して、こういう好意を見せて下さったのは、実にありがたいことだと思っている」(名張市立図書館には、館内に江戸川乱歩コーナーを開設、乱歩の著書や色紙、原稿などのほか、次のような遺品を展示している)
名張市のHP より引用)

<参考「屋根裏の法学士」、「秘密」>
 江戸川乱歩は、宇野浩二の小説を愛読しておりました。
 宇野浩二の小説に「屋根裏の法学士」(大正七年)という作品があります。
 (「屋根裏の恋人」というのもあります。)
 乱歩の「屋根裏の散歩者」は大正十四年ですから、乱歩がこの「屋根裏の法学士」に感化されたことは、間違いありません。
 何故かと言うと、この「屋根裏の法学士」に出てくる、乙骨三作という主人公が、非常に郷田三郎と性格や行動が似ているからなのです。
 もっとも、この宇野浩二の方の屋根裏とは、少し違う意味で、郷田三郎のように屋根裏こそ徘徊はしませんが、押し入れに閉じこもり、押し入れの隙間から見える、窓の外の通行人を眺めて、あれこれと妄想をするというものなのです。
 作中で郷田三郎が、暇つぶしの一つに、女装をすることが書かれていますが、女装の話なれば、谷崎潤一郎の「秘密」が妖しくも面白かろうと思います。
 この作品は、
で読むのが手頃だと思います。
(「先端猟奇パノラマ」 より引用)

<本ブログ主宰 川口青樹(カワグチ セイジュ)のお気に入り>
 映画の中で男が蜘蛛の巣状の縄の上に縛られている女性を描いているシーンがあるが、この縛りは見事である。
 また、下宿の女性が、スタンドの裸電球を、単衣だけをはおった身体の上から当てられるシーンはエロティックである。

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参考:エロチック乱歩・屋根裏の散歩者
   屋根裏の散歩者
   江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」の引用をめぐって~『閃光のナイトレイド』補遺
   「屋根裏の散歩者」実相寺昭雄
   江戸川乱歩『屋根裏の散歩者 江戸川乱歩ベストセレクション3』